注文住宅で家を建てる注意点

注文住宅づくりを成功させるために注意すべきポイントは数多くあります。

 

お金のことやデザインのこと、家の性能のこと、税金のこと、間取りのこと、ライフスタイルのこと……

 

しかしほとんどの人にとって家づくりは初めての挑戦。最初から全て把握しようとしてもうまくはいきません。

 

闇雲に知識だけ蓄えるのは時間の無駄です。

 

ただ勉強するよりも、実際に家づくりを始めながら学んでいったほうが効率が良いものもあります。

 

まずは絶対に外せない重要なポイントだけ抑え、後は自分たちの家づくりに必要だと思ったものから学んでいくのが得策です。

 

そこで今回は、家づくりで重要な6つのポイントについて解説していきます。

 

会社選びが9割

注文住宅づくりがうまくいくかどうかは、どのハウスメーカー・工務店を選ぶかによってほぼ決まってしまいます。

 

住宅会社によって得意とする分野や方向性は全く違います。

 

希望通りの家を建てるためには、その希望にあった会社を選ばなくてはなりません。

 

木造しか取り扱わない会社もあれば、鉄骨に高い技術を持ちそれ一本に絞っている会社もありますし、2×4から軽量鉄骨・コンクリート造まで色々な工法をカバーしているハウスメーカーもあります。

 

価格帯も違います。高品質で高級感のある高額な住宅のみを扱っている工務店もあれば、低価格で手の届きやすい値段の住宅を提供することを使命としているハウスメーカーもあります。

 

デザインについても、和風・洋風・モダンなど得意分野は様々です。

 

木造しか扱わない工務店にコンクリート造の家を注文することはできませんし、ローコスト住宅を主に扱っている会社で多額の予算をかけた家を建てたとしても、高級感のある家にはなりません。

 

他にも、間取りの成約や使える設備、技術なども会社ごとに様々です。会社を決めてしまってから「思い通りにならない!」と困ることがないように、あらかじめ要望を実現可能か確認した上で選ぶようにしましょう。

 

また、住宅のクオリティも住宅会社によって大きく左右される部分です。

 

傍目には同じように建材も、実は会社によって品質はバラバラ。もちろん工事に携わる職人たちの技術力も会社ごとに差がありますし、それをどの程度監督しているかも違います。

 

同じような予算で同じような家を建てても、どの会社に依頼するかによって快適さや満足度は全く違うものになります。

 

一生に一度の家づくりで後悔してしまうことのないように、パートナー選びには慎重になる必要があります。

 

デザインの方向性を決める

適切なハウスメーカー・工務店を選ぶためには、まずどんな家を建てたいかを明確にしなければなりません。

 

その時に助けになるのが「どんなデザインの家にしたいか」ということです。

 

住宅の性能や機能についていきなり考えるのはなかなか難しいですが、見た目のことなら家のことに詳しくなくても考えることができます。

 

洋風の住まいにするか、和風建築にするか、シンプルなものにするか、ナチュラルなものにするか……

 

注文住宅の選択肢は無限にありますが、好みのものとなれば自ずと候補が絞られていくはずです。

 

家族でよく話し合い、目指す方向性を考えてみてください。

 

快適に暮らせれば見た目にはこだわらないという人でも、デザインの好みは重要です。

 

デザインが違えば、そこに置く家具も設備も違うものになります。生活スタイルも左右されます。

 

例えば、敷布団を敷いて眠りたいなら和室が必要になりますし、掃除の手間を極力減らしたいなら、凹凸や装飾の少ないシンプルなものが向いています。

 

先に述べたように、どんなデザインを得意としているかは住宅会社によって異なります。

 

デザインの方向性を決めることができれば、たくさんあるハウスメーカー・工務店の中から候補を見つけやすくなります。

 

モデルハウスやショウルームを見るのも悪くありませんが、できればこれまで建ててきた家を見てみるのが良いでしょう。

 

外側はもちろん、内装や間取りなどが自分たちの好みや暮らしとマッチしているかどうか注意深く観察してみてください。

 

基本的に、それまでその会社が扱ってきたことのないようなデザインを注文するのは避けた方が無難です。

 

他の部分がどんなに気に入った会社でも、なれていないことをうまくすすめるのは施主と住宅会社双方の根気とやる気が必要になるからです。

 

どうしてもその会社で建てなければならない理由でもない限り、会社の得意分野と合わせた家を建てる方が効率的で無駄もありません。

 

これはデザイン意外の部分についても同じことが言えます。

 

住宅性能

次に考えるのは住宅の性能や機能。

 

安全で快適な暮らしをするためには考えておかなければならない部分です。

 

いくら見た目の良い家でも、この部分がおろそかになってしまうと、安全が脅かされたり、短期間で不具合が生じて修理や修繕にコストがかかったりする原因になってしまいます。

 

省エネ

住宅性能の中で最も注目されやすく、効果がわかりやすいのがこの省エネ性能。

 

光熱費を削減できれば毎月の出費を抑えられ、住宅ローンの返済が重くのしかかる家計のやりくりを楽になります。

 

たとえ毎月たった1,000円でも、1年続ければ12,000円。

 

これから何十年と暮らすことになるマイホームですから、小さな積み重ねでも大きなものになります。

 

省エネ性能は快適性にも大きく関わっています。冷房の涼しさを逃さず暖房の暖かさを閉じ込める構造なら室内の温度は一定で、体への負担も少なくなります。

 

省エネ性能は、熱をどれだけ逃さないかという断熱性と、空気の漏れが少ないかという気密性によって測ることができます。

 

また、これらは住宅の構造・設備・材料によって変わりますが、同じ性能でも手段によって長所・短所が異なります。

 

予算やそれぞれの特徴を理解した上で選択していくと良いでしょう。

 

また、どれだけの断熱性・気密性が必要になるかは地域や立地によって変わります。

 

温暖な地域で寒冷地仕様の住まいはオーバースペックですし、温かいと思われている地域でも、季節や周囲の環境によっては思っているよりも寒くなる場合もあります。こうした場所に合わせた対応は、各社の腕の見せ所でもあります。

 

住宅の省エネ対策には、ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)などもあります。

 

これは省エネに加えて太陽光発電を行うことで、住宅で消費するエネルギーを実質ゼロにすることを目指した住まいです。

 

初期投資は多くなりますが、省エネ効果を始めとしたメリットも大きいです。

 

耐震性

やはり住宅の性能と言えば地震への備えも気になるところです。

 

とはいえ、現行の建築基準法は数百年に一度地震(震度6〜7程度)でも倒壊しない程度の強度が必要となっています。

 

特にこだわらずに家を建てたとしても、地震のみなら家屋の下敷きになってしまうことは早々ありません。

 

ただ、建物の下敷きにならなくても屋根や壁の一部が壊れて落下し怪我をしたり、修繕の必要が発生したりする可能性はありますし、経年劣化で少しずつ強度が落ちていくことを考えると、ある程度は丈夫につくっておくに越したことはないでしょう。

 

耐震等級には1から3まであり、次のように分類されています。

 

耐震等級1:建築基準法相当、数百年に一度の地震(震度6〜7程度)でも倒壊せず、数十年に一度の地震(震度後程度でも損傷しない)
耐震等級2:耐震等級1で想定されている1.25倍の地震に耐える
耐震等級3:耐震等級1で想定されている1.5倍の地震に耐える

 

地域によりますが、これから家を建てるなら耐震等級2は欲しいところです。

 

ただ、耐震性は建物の強度だけでなく地盤の強度にも影響されるため、同じように建てても同じ強度になるとは限りません。

 

また、耐震性能を上げると家の間取りや開口部の制限、費用の増加にも繋がります。希望や予算とのバランスを考えながら調整していく必要があるでしょう。

 

予算と価格

多くの人が最も頭を悩まされるのがお金の問題。

 

まずはどれだけお金を出せるかをしっかり計算しておく必要があります。

 

今の貯金だけでなく、毎月住宅ローンをどのぐらいまで返済可能で、そこからどれだけ借りられるかを逆算してみてください。

 

予算の全てを家に費やせるわけではありません。土地を買うなら土地代も必要になりますし、手続きや利息、保険の支払いなど建物以外にも色々とお金がかかります。

 

そうした様々な出費を差し引いて残った分が家づくりに使える予算になります。

 

予算は無限にあるわけではありませんから、家づくりは優先順位をつけバランスを取りながら進めていくことになります。

 

どれを優先すべきか迷った場合は、後から変更がしづらいものを優先していくと失敗しにくいです。

 

一番おろそかにするべきではないのは土地です。最悪建物は後から立て直したりリフォームしたりできますが、土地だけ変えるということはできません。

 

次に構造材。木造の家を後から鉄筋コンクリートにするのは無理ですし、同じ木造でも安価なものから高級なものに建ててから変えるのは困難です。

 

他にも、断熱材や外壁などは後から変えるのが難しかったり、変更や修繕にコストがかかったりする部分になります。

 

反対に、変更が簡単だったり、短期間で寿命が来たりするものについては優先順位が低くなります。

 

給湯器の寿命は10年程度ですし、バスやキッチンなども10年から20年で交換が必要になります。高い設備を何年も使うより、早めに交換して技術の進歩を享受した方が快適になる可能性も高いです。

 

ただ、マイホームを建てるなら日々の生活を豊かで便利にしてくれる住宅設備にこだわりたいのは当然ですし、ここで説明している優先順位も一般論でしかありません。それぞれの家族によって欲しい家が違うように、優先すべき順位も異なります。

 

設備にこだわる代わりに内装やカーテンをシンプルにしたり、外構工事を最低限にして残りをDIYでカバーしたり、節約する方法は他にいくらでもあります。家族で話し合い、予算のバランスを考えながらメリハリのある家づくりを行いましょう。

 

家を建てた後のこと

マイホームや住宅会社との付き合いは、完成してからが本番になります。

 

家を建てるのにかかるのは長くても1年弱。それに対して家の寿命は短くても30年、長寿命住宅なら60年にもなります。

 

新築直後は立派できれいな家でも、10年、20年と経過するうちに少しずつ劣化が進み、修繕や交換が必要になっていきます。

 

最初はなんの不具合もない完璧な住宅でも同じです。マイホームで快適な暮らしを続けるためには、適切な点検とメンテナンスが必須となります。

 

家を引き渡した後の点検・メンテナンスの対応は住宅会社でまちまちです。

 

引き渡し後5、6年程度で点検が終了してしまうところもあれば、60年近いサポートを行っているところもあります。

 

長期サポートを行う住宅会社は会社の規模が大きく、価格が高めに、反対に規模の小さい会社やローコスト住宅などはサポートが短くなる傾向にあります。

 

点検や修繕は家を建てた会社でなければならないという決まりはないため、自分で業者を手配できるならサポートが短くても低価格な住宅会社を選べます。

 

反対に、家に関する色々な物事を相談し、サポートを続けてくれるパートナーが欲しいなら、アフターサポートの手厚い住宅会社がおすすめです。

 

担当者との相性

最後にもう一つ重要な要素となるのが「担当者との相性」です。

 

注文住宅では家の間取りやデザインを要望に合わせて決めていきます。

 

設計者や現場の工事担当とのやり取り・連絡は営業担当が施主との間に入ります。住宅に関する専門知識がない施主の要望を聞き取り、具体的な形にしていくのも担当者の大切な仕事です。担当とのコミュニケーションが円滑に取れなければ、注文住宅づくりがうまくいかないのは必然です。
工務店の場合、間に営業を挟まずに直接現場や設計の担当と打ち合わせできるところもありますが、それでも相性が重要になるのは言うまでもありません。

 

担当者とのコミュニケーションがうまく取れないと、連絡漏れやミス、工期の遅れなど様々なトラブルの原因になります。
ハウスメーカーや工務店を訪問する際には、対応する営業担当の人柄もチェックするべきポイントになります。

 

ポイントを抑えて後悔のない家づくりを

注文住宅づくりを成功させるためには色々なことについて学び、検討する必要があります。

 

しかし、今回紹介した基本的なポイントをしっかり抑えておけば失敗することはありません。難しいと思える選択も、基本方針が固まっているのなら考えていくのも簡単になります。